サカモト石油の更新担当の中西です。
さて今回は
~ルーツ~
ということで、 世界初のガソリンスタンドの誕生と、その歴史的背景・意義について詳しく解説します。
現代のモータリゼーション社会に欠かせない存在、ガソリンスタンド(サービスステーション)。ドライバーにとっては日常の一部であり、エネルギーインフラの中核でもありますが、いったいこの「スタンド」はいつ・どこで始まったのでしょうか?
- 自動車とともに生まれた「ガソリンを売る場所」
- ガソリンの販売はもともと薬局から
20世紀初頭、自動車はまだごく一部の富裕層の乗り物でした。当初はガソリンを手に入れる手段が限られており、薬局や雑貨店で缶詰のような形で購入するのが一般的でした。
この「非効率で危険」な販売方法に代わる、新たな給油手段が求められ始めていたのです。
- 世界初の“本格的”ガソリンスタンド誕生
- 1913年 アメリカ・ペンシルベニア州ピッツバーグ
世界で最初の近代的なガソリンスタンドは、1913年12月1日、アメリカ・ペンシルベニア州ピッツバーグにて、ガルフ・オイル社(Gulf Oil Corporation)によって開業されました。
このスタンドは単にガソリンを提供するだけでなく、以下のような革新的なサービスを導入しました
- 地中タンクからの直接給油(安全性向上)
- 自動車整備・オイル交換などのサービス
- 給油係によるフルサービス対応
- 時間営業、価格表示、清潔な施設の設置
この一歩が、後の“サービスステーション”という概念を確立する礎となります。
- ヨーロッパや日本における最初のガソリンスタンド
- ヨーロッパ
ヨーロッパでの最初のガソリンスタンドは、ドイツのハンブルク(1920年代初頭)に誕生したものとされます。欧州では都市計画とともにスタンドの設置が進み、美観や安全性への配慮が重視された設計が特徴です。
- 日本
日本における最初のガソリンスタンドは、1920年(大正9年)に東京・芝浦で開業したものが最初とされています。運営したのは「スタンダード・ヴァキューム石油会社(現・ENEOSの前身企業)」で、当時は人力ポンプでガソリンを汲み上げ、バケツで注ぐ形式でした。
- ガソリンスタンド業の進化と影響
ガソリンスタンドは、単なる給油所から、以下のような多機能サービス拠点へと進化を遂げました
- オイル・タイヤ交換などの軽整備
- カーウォッシュ、車検代行、ETCセットアップなどの利便サービス
- コンビニ併設型(コーヒー・食品の販売)
- EV対応・水素ステーションなど、次世代エネルギー対応
また、地方では地域コミュニティのハブとして機能し、高齢者の見守りや防災拠点としての役割も担っています。
- 歴史の意義と現代への教訓
1913年にアメリカで誕生したガソリンスタンドは、それまで「どこで燃料を買えばいいのか」という課題を解決し、自動車社会の本格的発展を支えるインフラとして機能しました。
現代もまた、EV(電気自動車)や水素燃料車の普及を背景に、“エネルギー供給拠点”としての役割を再定義する転換期にあります。
最初のスタンドが切り開いた「移動の自由」
ガソリンスタンドは、ただの燃料補給場所ではありません。1913年のピッツバーグでの第一歩が、自動車社会を支えるインフラを形づくり、現代の私たちの移動の自由と経済活動の拡大に大きく寄与したのです。
今後、カーボンニュートラル社会に向けて、ガソリンスタンド業は再び進化を求められています。その未来像を描くためにも、私たちはまず、その「最初の一歩」を知っておく必要があるのではないでしょうか。
